名目GDP・債務比率・債務残高から見る変化していくEU
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名目GDPランキング(2024年、EU27)

順位国名名目GDP(10億ユーロ)実質成長率(前年比)特徴・補足
1ドイツ4,329.0−0.5%EU全体の約24%を占める最大経済。実質はマイナス成長
2フランス2,919.9+1.1%EU全体の約16%
3イタリア2,199.6+0.8%EU全体の約12%
4スペイン1,594.3+3.5%上位10か国の中でも高い成長率
5オランダ1,122.5+1.1%EU全体の約6%
6ポーランド848.5+3.0%中東欧最大の経済。ユーロ非加盟でユーロ換算値
7ベルギー620.3+1.1%EU全体の約3%
8アイルランド562.8+2.6%多国籍企業の利益計上でGDPが膨らみやすく、国内の実体経済より大きく出る
9スウェーデン558.7+1.0%ユーロ非加盟でユーロ換算値。アイルランドとの差は約40億ユーロと僅差
10オーストリア494.1−0.7%実質はマイナス成長

2024年時点の名目GDPの上位、特にドイツ・フランス・イタリア・スペイン・オランダは、特に経済などに興味のないかたにとっても、所謂EU・ヨーロッパのイメージと重なるのではないでしょうか。何せこの5カ国の名目GDPの合計はEU全体の約67%、27カ国で構成されるEUの名目GDPの7割近くを5カ国で叩き出しているのは圧巻です。

しかしながら、債務比率・債務残高に着目すると違う風景が見えてきます。

債務比率が高い国 ワーストランキング(2024年末、対GDP比)

債務比率が高い順。棒は前の表と同じ0〜160%の共通目盛です。

順位国名債務比率(対GDP比)債務残高(10億ユーロ)特徴・補足
1ギリシャ154.2%365.0前年から−10.1pp。ただしEU最高水準
2イタリア134.9%2,966.9前年から+1.0pp
3フランス113.2%3,305.3前年から+3.4pp。残高は上位10か国で最大
4ベルギー103.9%644.4前年から+1.5pp
5スペイン101.6%1,620.6前年から−3.6pp。100%超は上位5か国のみ
6ポルトガル93.6%270.9前年から−3.3pp
7フィンランド82.5%227.5前年から+5.4pp。上位10か国で最大の上昇幅
8オーストリア79.9%394.8前年から+2.1pp
9ハンガリー73.5%約145.6前年から+0.3pp
10スロベニア66.6%44.9前年から−1.7pp。11位はキプロスの62.8%

順位は債務比率の高低で決まっており、残高の大小とは一致しません。ギリシャは比率で最高ですが、残高は1位のフランスの約9分の1です。

フランスは債務比率(対GDP比)で3位、債務残高では1位、しかも債務残高は拡大傾向が続いています。EUの優等生のポジションはドイツ・フランスというイメージが一般的ですが、既にそのイメージの一角は転落しつつあるのが現実です。

補足として、フランスが財政収支が黒字だった最後の年は1974年、50年以上前です。債務比率の増大傾向については欧州委員会・S&Pなど複数の機関がデータを予測していますが、2028年に120%台前半という点はほぼ一致しています。

2020年末→2025年末の債務比率の低下幅が大きい国(1〜10位)

2020年末から2025年末にかけて債務比率が下がった幅の大きい順です。

順位国2020年末2025年末変化(pp)2020年比の減少率
1ギリシャ209.4%146.1%−63.3約30%
2キプロス113.6%55.0%−58.6約52%
3ポルトガル134.1%89.7%−44.4約33%
4クロアチア86.5%56.3%−30.2約35%
5アイルランド57.0%32.9%−24.1約42%
6スペイン119.3%100.7%−18.6約16%
7デンマーク46.3%27.9%−18.4約40%
8イタリア154.3%137.1%−17.2約11%
9スロベニア80.2%65.7%−14.5約18%
10オランダ53.3%44.4%−8.9約17%

債務比率低下とプライマリーバランス黒字化達成を実現しているギリシャ

ギリシャの改善幅は、絶対値ではEU27か国中で最大です。また、キプロスがほぼ同規模で、ポルトガルなども大きく下げています。債務比率の低下幅が大きい(改善している)国は欧州債務危機期の支援プログラム国が上位と多くが重なります。 ギリシャ、キプロス、ポルトガル、アイルランドです。

2025年のギリシャのプライマリーバランス(基礎的財政収支)はGDP比4.9%の黒字です。国債(借金)に依存せずに税収などによって既に賄えている状態です。しかしながら、黒字だからといって残高がそのまま減るわけではなく、危機対応で組まれた長期・低利の公的融資を持続的に薄め続けていて結果として改善が顕著、しかしまだ債務返済への道程の途中といったところでしょう。

*ギリシャの財政再建については、私たち日本人にとっても非常に興味深く考える方も多いでしょう。このトピックについては別記事で考察記事を公開予定です。